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命が体をつくる。平飼い卵「佐々木農園」さんの無理しない生き方。

こんにちは。

池田町在住歴2年半、シバタチカです。

まだまだ知らない池田町のモノヒトコト、見つけてレポートしていきます!

 

こちら、こってコテいけだこっぽい屋で見かける「福地鶏」の卵。

平飼い卵

卵の味がしっかりする、生臭さがない、まろやか、他の卵とは全く味が違う!と、わざわざ買いに来る方の多い、評判の卵です。

今回は、その美味しさ秘密を探るべく、生産者「佐々木農園」さんにお邪魔しました。

(普段、見学等は出来ませんが、取材のため特別にご案内いただきました。)

佐々木さんご夫妻。美喜男さん(右)とひとみさん(左)です。
佐々木さんご夫妻。美喜男さん(右)とひとみさん(左)です。

 

さっそく鶏舎を見学させていただきます。靴を履きかえるのは、鳥インフルエンザ等への感染予防のため。

約300羽の元気な鶏が迎えてくれました。

人の気配を感じ、コッコッと可愛らしい声で鳴きます。
人の気配を感じ、コッコッと可愛らしい声で鳴きます。

 

「(鶏が)白い息吐いて、寒いんやね~」と、ひとみさん。山間地である池田町は冬の寒さが厳しい。

「冬用の毛に変わったり、ひっつき合ったり、鶏なりに工夫しているから大丈夫だよ」と美喜男さん。

生き物としての強さが備わっているのだな、と実感します。

鶏

佐々木農園さんの鶏が食べる餌は、主に、おから、米、ビール粕、魚粉、牡蠣殻、配合飼料を合わせた自家発酵飼料です。

おからは、すぐ近くの沢崎豆腐店さんから。米は、佐々木農園さん自ら飼料米として育てたもの。思わず「美味しそう!」と言う私に、「人間が食べても大丈夫なおからとお米だよ」と教えてくれました。

ビール粕も、とてもいい香りがします。牡蠣殻は、いい卵の殻を作るため。

栄養のバランスがしっかり考えられていました。

餌

実は、とうもろこしや大豆などを合わせた配合飼料にも、それだけで最低限の栄養は入っているそうです。乾いてサラサラとした配合飼料はとても扱いやすく、ゲージ飼いを行っている養鶏場では、これを自動給餌することで手間が省けるのだそう。

しかし、佐々木農園さんでは、おからやビール粕など、湿っていて扱いにくい餌も細かく混ぜて給餌します。

餌の違いは卵の違いに表れるから、と佐々木さんは言います。例えば、オレンジ色の色素を混合した餌を食べさせると、卵の黄身は濃い黄色になります。しかしそれは自然ではない、と佐々木さんは考えます。

本来鶏は、栄養がなくても草は喜んで食べるし、砂も食べると消化が良くなる。それが自然なこと。

この日、伺ったのは夕方の時間帯。お話を伺っているうちに、止まり木に上る鶏が増えてきました。暗くなってくると、身を守るために高いところに上るのだそう。

家畜として飼われていても、生き物としての習性が残っている。鶏が自由に動き回れる佐々木農園さんの平飼い飼育は、鶏にとってストレスの少ない環境を実現しています。

肉にしろ野菜にしろ、私たちが体を作るために口にすべきものは全て「命」なのだと佐々木さんは考えます。

 

ご自宅に移動して、佐々木さんのこれまでのお仕事のこと、これからの人生のことなどを伺いました。

佐々木さんご一家が池田町に引っ越してこられたのはおよそ26年前。美喜男さんが36歳のとき。

それ以前は、ご夫妻とも京都で京友禅のお仕事をされていました。

京都に住んでいた時から、食べるものに気を使い、有機食品などを取り入れていた佐々木さん。しかし、値段が高かった。佐々木さんは自分の手で作ることを思い立ちます。郊外に借りた畑に、30~40分かけて通う休日。

そして、もっと無理なく自然に寄り添った形の暮らしがあるはずだと、ここ池田町に移住してきました。

池田町

池田町の養鶏場は、実は佐々木さんたちが3代目。「どうして養鶏を引き継ごうと思われたのですか」との質問に、意外な答えが返ってきました。

「おじいちゃんにしてもらう仕事が他になかったからね~」

美喜男さんがやっているような山仕事や農作業は、もうおじいちゃんには厳しい。かと言って、まだまだ働ける元気はある。程よく体を使う養鶏は、おじいちゃんにぴったりなお仕事でした。

 

穏やかな表情でお話される美喜男さんですが、行動力は凄い。

こんなエピソードがあります。美喜男さんはもともと京都の生まれではなく、宮城県気仙沼で18歳までを過ごした。高校卒業後、縁もゆかりもない京都へと向かった理由は、「お姉さんの成人式の着物があまりにも綺麗だったから」。思い立ったら一筋だ。でも、決して無理はしない。

美喜男さんお手製のサルナシのジャムをご馳走になりました。こんなに美味しいものが山に生えているなんて~!ジャムはいつも甘さ控えめで手作りされるそうです。
美喜男さんお手製のサルナシのジャムをご馳走になりました。こんなに美味しいものが山に生えているなんて~!ジャムはいつも甘さ控えめで手作りされるそうです。

そんな美喜男さんに寄り添うひとみさんは、生き生きとした目が素敵。主に配達を担当しているため、取引先のお店の方との関わりが多いひとみさん。佐々木農園さんの卵を扱うお店の方には、自身の考えをしっかり持った方が多く、話をしているうちにひとみさんは勇気づけられるのだと言います。人とのつながりを何より大切にしているという印象を受けました。

 

佐々木さん一家の今後の目標は、穏やかに健康第一で過ごすこと!

もう年だし鶏もいるので何日も旅行に行くことはないけれど…と言いつつも、娘さんと行くライブは別!まだまだアクティブな佐々木さん夫妻です。

福地鶏のたまご
ぜひ一度味わってみてください!

 

【佐々木農園さんの平飼い卵が買えるお店】

・池田町:まちの市場 こってコテいけだ

・福井市:こっぽい屋(ショッピングシティベル内)ファームビレッジさんさん

・鯖江市:my organic

 など