タイトルというのは常に悩ましい。
書いては、悩んで、消して、書いて。
結局落ち着いたのは「池田の藁苞納豆づくり」である。
このブログで藁苞納豆づくりと書くと、「体験してみました!」というニュアンスが強く出る(気がする)。
だがしかし、それは96年生まれの私が書くからであって、
むかしから藁苞納豆づくりを日常的にしてきた人からしてみれば「藁苞納豆づくり」なんて仰々しく書かなくても
当たり前のようにやっている生活の一部なのだ。
このブログタイトルに「藁苞納豆づくり」と書くこと自体が、生まれ育った時代背景や立場性を如実に反映している。
私が伝えたいのは「体験してみました!」なんだろうか?
そもそも「池田の」ってつけていいのか?他地域のつくり方と比べて池田に特有な点はあるのか?
などと考えてしまうまりこです。
ここまでページを閉じずにいてくれたあなた様に感謝します。笑
2月12日に観光協会主催の「わら納豆づくり」イベントに参加しました!
そこで知った数十年前の池田町の暮らしや、藁苞納豆のつくり方を綴ろうと思います。
藁苞納豆のつくり方を教えてくれるのは、
清水三千代さん。
清水さんと言えば、こってコテに来た人であれば
1度は目にしたことがある、あのかきもち!の生産者様であります!
藁苞納豆は、池田町出身の旦那さんに教わったそうな。
藁苞納豆をつくるにあたって必要なものはなんでしょうか?
まず、大豆。納豆は大豆ですものね。
ちなみにイベントの数日前、農業バイトでたまたま大豆の選別作業があって、しわや変色のない1番良いつるっとした豆を納豆に使うということを知ったばかりでした!
そして藁。
なぜ藁なのかというと、藁に納豆菌がついてるからです。
お恥ずかしながら私は1年前までそれを知らなくて!
納豆が藁に包まれてるのってかっこいいからかなって思ってました(アホすぎ)。
というか藁さえ何なのかよくわかんなかったと思う...。
さてさて、藁と大豆でつくっていきます。
手順1 豆の寝台をつくる
納豆は、大豆を藁に包んで2,3日発酵させて完成します。
まずは藁で大豆の寝台をつくるところから。
ポイントは2つ。
藁の長さと、藁の選別。
まず、使う藁の選別。
長さが短いものや土がついたものを手で取って、きれいな藁だけ残します。
そして藁苞を作るには、長さのある藁が必要です。
写真のように真ん中でくくって半分に折り返します。
半分に折り返したら、それをまた半分に折って、くの字になるようにします。
そして大豆を入れられるような隙間をつくります。
この姿になった時、清水さんが
「美しいでしょう〜〜〜」と言っていて。
藁苞を美しいと言える清水さんが素敵だなと思いました。
何百回と作ってきただろうけど、いまも感嘆の声をあげていることに、朽ちない愛情を感じてしみじみとしておりました。
こうして、美しい大豆の寝台が完成します。
手順2 大豆が発酵する、人間は待つ
藁苞に大豆を詰めて縛ります。
この際、粉末の納豆菌を水に溶かしたものを大豆にふりかけるという過程がありました。
(清水さん家には納豆菌がたくさん住んでるかもしれないけど、今回藁だけで厳しかったら残念だからという観光協会さんの計らいで)
私は好奇心から、納豆菌をかけるものとかけないものをつくりました。
さて、ここまですれば人間がすることはほぼ終わり。
最後に発酵しやすい環境づくりをします。
まず、大豆を詰めた藁苞を煮沸消毒します。
え?納豆菌死んでしまうのでは?と思ったんですが、なんと納豆菌は高温に耐えられるそうな!すごいぞ!
どれくらい煮沸するのがいいんだろう?
そう思った私は清水さんに聞きました。
「知らんのや。煮沸はせんかったで。」
おっとびっくり!
観光協会さんが、納豆菌以外の雑菌をなくせるように配慮して取り入れられた手順らしい。
「清水さんはどうしてたんですか?」
「すぐに米袋に入れて、こたつの中へ放ってたよ」
な、なんと!
これを聞いてしまった私。実験せずにはいられない。
手元にある藁苞は4つ。一緒に参加した人のも含めれば8つ。
煮沸したのと、しないのをつくってみよう!
つまり、私がつくったのは4種類の納豆。
納豆菌あり煮沸あり・納豆菌あり煮沸なし・納豆菌なし煮沸あり・納豆菌なし煮沸なし。(目が変になりそう)
いただきます
納豆菌が増えやすい40度くらいを保つこと2,3日。
(清水さんはこたつに数日入れてたそうな。観光協会さんは発泡スチロールを用意してくれて、そこへ湯たんぽやお湯の入ったペットボトルを入れる事で発酵どころをつくりました。)
納豆ができました!
全部の藁苞納豆が糸を引いております!!!
発酵大成功であります!!!
嬉しい嬉しい!!!!!!!
実験結果がわかる時。
4種類の食べ比べをしようと思います。
結果一覧
煮沸なし、菌なし(1番オリジナルな子)
糸引きが弱め、納豆の味はする。
煮沸なし、菌あり
糸引き良い、市販の納豆に似てる。
煮沸あり、菌なし
糸引き弱め、豆っぽさが強くてふっくらした食感
煮沸あり、菌あり
糸引き良い、市販の納豆くらい食べやすい
豆がふっくらしてて納豆感が強い
総じて納豆でした!そして美味しかったです。
菌のありなしが生むちがいは、糸引きの強弱と納豆感の強弱(大豆寄りか納豆寄りか)。発酵度合いのちがいでした。
煮沸ありなしが生むちがいは、色、硬さでした。
煮沸なしは色が少し濃くて、硬いのもまざっていました。
煮沸ありは色が薄めで、やわらか食感な感じでした。
あとは人によりますが、煮沸ありの方が雑味がなく感じると言ってた人もいました。
たしかに煮沸したら納豆菌以外の菌はなくなりますよね。
私は煮沸なし菌ありが1番好きでした!
でもでも、糸引きが弱めでしたが、藁についてた納豆菌だけでも発酵できたという点で煮沸なし菌なしも応援したい気持ちです笑
煮沸しないのであれば、手順毎に手を洗ったらいいだろうなとか、
煮沸しなかった納豆の中で硬い(乾燥ぎみ)のができるのはなんでか?など
今後探求したいことも出てきました。
藁と大豆と池田の暮らし
むすびにかえて。
藁苞納豆づくりをしながら、
少し前の池田町の暮らしを知りました。
そこかしこへ散らばる藁たち。
薪ストーブや土壁づくりに使いたいからもらってもいいか?と聞くと、こんな話が返ってきました。
「むかしは、火葬の時に使ってたよ。よく燃えるで。」
藁ってそんなにたくさん生活の中にあったんだ・・・という驚き。
それは大豆も同じで
よく田んぼのあぜとかに植えて、基本的に各家庭ある程度の量大豆があったようです。
「豆腐屋も、昔はみんな大豆を持ってきてそれを豆腐にするお代をもらってたんだよ〜」と。
たくさんあったもんで、藁苞納豆づくりは冬の手仕事としてよくやっていたそうです。
どれくらい食べていたのか聞いてみると。
「冬間はほぼ毎日やったねぇ。そのまま食べたり、お味噌汁に入れたり。」
ほぼ毎日食べるほど作っていたとは・・・!
今とは異なる暮らしの姿を知り、想像できた時間でした。
大豆がどうできるのかさえ知らないなぁ、来年度はつくってみようかなぁ。
まりこ
(本名 川上真理子)
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大都市で24年間をTO DO(したいこと)ファーストで
生きてきて、大学3年の時に自分の在り方の大切さ
に気づく。
ご縁がありたまたま出会った池田町での
素朴で等身大な人や自然に惹き付けられ
大学院卒業後、新卒無職で池田に移住。居候ちう。
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現在の活動はこちら👇
●池田町見習い人(めざせ何でも屋)
●一般社団法人の立ち上げ手伝い
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好きな食べ物)ちんころいも※池田町限定
現在、畑仕事や古民家改修により筋肉強化中。