私事ですが、池田町でよもぎ餅づくりを手伝うことになりました。
どんな餅かと言いますと
お餅売り上げNo.1を誇る、下池田グループのお餅です。
ちなみに、下池田グループはよもぎ餅だけじゃなくて
よもぎ餅を池田町産きなこにまぶした「きなこよもぎ餅」。
シンプルによもぎ餅の味を楽しむ「よもぎ餅(あんなし」。(写真は売り切れ、すみません)
池田町産お豆を練り込んだ「豆もち(あんなし)」。
など!他にも真空パックに包まれた、焼いて食べるお餅もあります。
冷蔵コーナーにも、下池田グループおります!
柚子や唐辛子を合わせた薬味「ゆずうに」も、作ってるんですねぇ。
どれも絶品なので、ぜひ食べて欲しいです!!!
よもぎ餅づくりを手伝ってます、なんてわざわざ書かなくてもいいことなのですが。
過疎地域の苦味と旨味が、ぎゅっと濃縮したような出来事のように思えてならなくて。
なんか、書かなきゃいけないような気がするのであります。
よもぎ餅づくりを継ぐとか、継がないとか
「ちょっとお願いがあって...まあ気軽に聞いて欲しいんだけど」
ある日、関係者の方から突然声をかけられました。
ふむふむと聞いていると、こういう内容でした。
池田町の顔となる商品と言っても過言ではないほど売れているよもぎ餅を作っているおばちゃんらが高齢で、続けるのが難しくなってきていると。
だからこそ、まず若い人が手伝うことから始められないかと思ってる。
なるほど。なるほど。
即答で「関わらせてください」と言いました。
私が、東京でもなく、名古屋、博多、金沢といった地方都市でもなく、福井県の池田町に足を置いている理由は、まさしくこういうところにあるからです。
ただ。
「完全に継ぐことまで背負う覚悟があるかと言えば何とも言えないので、相談しながらでお願いします」
とも言いました。
つまり、ゆるやかに関わっていく宣言です。
実際に現場に入るまで、2週間くらいありました。
その間に、いっぱい考え事をして、話し合いもしました。
お餅をつくるおばちゃんらは、どういう展望を持っているのか?
将来的には、誰かに継いで欲しいのか?
若い人が入ってくることに対して、どう思っているのか?
私は友達Kとも、この話をしました。その時のことが印象的です。
私たちはたしか、「継ぐとか、継がないとか、そういうことを背負いきれない」みたいな話をしていて、
そしたらKが「その味が絶えるっていうのは、ある意味自然かもね」と言いました。
たしかに、そうかもしれないと、思いました。
不変な味を求めるのは、人間の不老不死を求めるほどに、不自然なことなのではないか。
つくる人が死ぬから、絶える。
つくる人が変わるから、味が変わる。それはあまりにも、自然な形だと。
「昔はこういうよもぎ餅があってね」ってつぶやく未来が、あってもいい。
本当にそう思ってるかどうかは別として、なんだか肩の力が抜けた出来事でした。
こうして、現場入りすることになりました。
ところで、この話が私に飛び込んできたということは、私には隙間があると思われているのではないかと思っています。
どこかに所属して定職についていないから
仕事時間が何時から何時までだとか。
どれくらい忙しいのか、忙しくないのかとか。
土日は休みなのか休みじゃないのかとか。
多分側から見たら、そういうことが謎なんだと思います。自分でもよくわかっていません。はは。
だからこそ、よもぎ餅づくりっていうものを突っ込む隙間があるかもしれない、と思ってくれたのかもしれません。
もしも、そう思ってくれていたなら、私は大喜びです。
現金収入が増えたー!という喜びではなくて、田舎に必要な「隙間係」になれてるー!という喜びです。
基本的に田舎は人手不足と言われていて、意外と仕事がめちゃくちゃあります。
ですが、非公式なもの。繋がりがあるからこそ、出てくる仕事。
あ、しっくりきた。
仕事は、あるもんじゃなくて、出てくるもん。そんな感覚です。もちろんつくるものでもあると思います。
だから、私はしょっちゅう友達に対して、
「仕事はいくらでもあるから、こっち来なよ!」とか言っちゃっておりマウス。
そう言い続けてたら、いつかどこかで、誰かがぬるっと来たりするんじゃないかと思って。
こうして、一週間に一度4時起きの生活が始まりました。
私の家から工場まで向かう途中、今の時期は、田んぼ仕事をしている方がいらっしゃって、車を止めて写真を撮りたくなります。
でも、いっつもギリギリに家を出るので、車なんて止める余裕がないのが残念です。
早起きはとてつもなく苦手ですが、そんな風景を見ると、とっても良いものを見れたなぁ〜と思って嬉しい気持ちになります。
最近、私が27歳である意味を、「間に合った」ことに見出しています。
例えば、おばちゃんたちが作るよもぎ餅づくりが、終わる前に「間に合った」とか。そういうことです。
きっと、世の中で27歳である意味って、いろいろあるんです。
一流企業でスキルをつけるとか。
あれ、意外と出てこない。
まあ一流企業じゃなくてもとにかくスキルつけるとか。
若いうちにしとけってよく言われるやつ。
でも、山奥に住むことを選んだ私は、スキルを身につけるとか、そういう類のものと縁遠いわけです。
それよりも、日々触れている知識と言えば
ばあちゃんがどうやって山菜を処理するのかとか
畑に植えるポットは何個買った方がいいのかとか
じいちゃんは何で狩猟を始めたのかとか。
今、池田の農業や畑、郷土料理づくり、山のこと...池田を池田足らしめている主な層は、高齢者です。
あと10年、20年した池田町の姿。
どうなっているんでしょうか。
間に合ったかもしれないけど、遅かった。そんな気持ちが私の中にあることも、本当です。
そういえば最近、お隣町の鯖江・河和田(かわだ)エリアのまちづくりの資料を見ていて、こんな言葉と出会いました。
(伝統工芸の工場を開放する体験型ものづくりイベントRENEW 2020年度の言葉)
読んだ瞬間、思わずわっとこみ上げるものがありました。
この気持ち、すごくわかるような気がします。
私も言ってやりたいです。
こんなに生きることの真髄を、その暮らしの中に内包している地域が、消滅するだなんて。
どう考えてもアホらしい。どう考えても、道理から外れている。
でも、どうしようもなく着実に、起きようとしている。
そんな未来を目の前に、私がしたいことって何だろうか。そんなことばっかり考えてます。
よもぎ餅を手伝うことは、そのひとつなのです。
でも、こういうことを頼まれたりすると、常に大きな問いがついてまわります。
継ぐとか継がないとか。
この地に骨を埋めるとか埋めないとか。
ただ、眉間にシワを寄せて考えたって、どうしようもない。
これは、諦めではなく、降伏のような気持ちです。答えがでません。わからないもの。問いのスケールが大きすぎる。
だからせめて、いま、自分の手が届く範囲のことには、降伏しない。
そんな「手」が地方に増えていったら、きっと胸が踊る。
「言われたから、自分なりに応答してみる」。そういうことです。
すごく受け身で、消極的な聞こえかもしれません。
が、打てる一手がこうした白黒つかない応答であることも事実です。
答えなんて簡単に出ないけど、着実に迫りくるどうしようもない未来を目の前に
ここの地の人と、共に考え、悩み、手足を動かす。
私がしたいことってそんなことかもしれないなって、
あまりにも白黒つかない自分の選択に、若干の得体の知れない不安を感じながらも、そう思っています。
これはきっと、池田に限った話じゃなくて
いわゆる田舎とか、過疎地域と呼ばれる場所で、きっと誰かも悩んで考え続けてることなんだろうなぁって思います。
よもぎ餅は、その日の早朝に作ったものを、その日の消費期限で売っています。
おばちゃんの長年の経験で培われた、砂糖と塩と水の塩梅。
このお餅を食べることができる「あなた」も、何かに「間に合っている」。
できたてを、召し上がれ。
まりこ
(本名 川上真理子)
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大都市で24年間をTO DO(したいこと)ファーストで
生きてきて、大学3年の時に自分の在り方の大切さ
に気づく。
ご縁がありたまたま出会った池田町での
素朴で等身大な人や自然に惹き付けられ
大学院卒業後、新卒無職で池田に移住。
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現在の活動はこちら👇
●池田町見習い人(めざせ何でも屋)
●ライター
●池田町のシェアハウス「川のいえ」
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好きな食べ物)ちんころいも※池田町限定
現在、畑仕事や古民家改修により筋肉強化中。